元鳥取聾(ろう)学校教諭で写真部顧問を務めた高田啓一さん=鳥取市雲山=の写真展「時代を生きる~戦中・戦後のろう者たち~」が22日、同市南隈のコミュニティプラザ百花堂で始まった。怒濤(どとう)の時代を生きた聴覚障害者らの写真と当時の様子を語る貴重な証言が展示されている。27日まで。
高田さんは、県内の耳が不自由な人の戦中戦後の体験を聞こうと2017年から取材を開始。当初は意思疎通が難しく、手話を含めた教育の重要性を強く実感したという。「戦後80年を前に戦時中の生活や出来事を知り、世界の紛争などにも考えを広げてもらえたら」と狙いを語った。
2度目の開催となる今回は、2年前に展示した写真に新たなものも加えた30点の銀塩写真を出展した。戦争中の家族のエピソードや、聾学校時代に受けた差別や偏見の記憶などの証言とともに、つらい経験を重ねながらも力強く生き抜いてきた人々の肖像写真が並ぶ。
高田さんは「当時のろう者の皆さんがどのような思いで生きてこられたかを知ってほしい」と話した。