燃焼する製鉄炉に砂鉄を投入し、日本古来の製鉄法を体験する「ミニたたら体験会」が23日、境港市花町の海とくらしの史料館であった。中庭にペール缶の内側を粘土で固めた簡易式製鉄炉を設置。訪れた観光客や市民らが、日野郡などで盛んだったたたら製鉄に思いをはせた。
同館で開催中の「境港と日野の鉄展」のイベントとして、日野郡内の有志でつくる「伯耆国たたら顕彰会」(佐々木幸人会長)が出張操業。先着50人が体験した。
参加者は足台に上り、砂鉄200グラムをひしゃくに入れ、炎が立つ炉口からゆっくりこぼすように投入。子どもたちは家族に抱きかかえられて挑戦した。炉内にたまった不純物を取り出す「ノロ出し」では、赤く流れ出る様子を、写真に収めていた。
米子市から訪れた野間田隼一さん(11)は「たたらについてはちょっと聞いたことがある。ノロが赤い液体にように出てくるのが不思議な感じがした」と話した。
この日は、原料の砂鉄15キロ、燃料の木炭40キロを使い、15キロの鉧(けら)を取り出した。顕彰会の佐々木会長は「弓ケ浜の形成や港の整備など奥日野のたたらと境港はとりわけ縁が深い。日野町と日南町にはたたらの資料館にもあるので、足を運んでもらえたら」と話した。
企画展は12月16日まで。日野のたたら製造と流通、境港の鉄山融通会所などのパネルや関係資料を展示している。