米子市美術館で開催中の「大広重展~東海道五拾三次と雪月花 叙情の世界~」(米子市、新日本海新聞社など主催、山陰酸素グループ特別協賛)では、歌川広重の作品について「お茶漬けに入っていたあのカード…」との声が聞こえてくる。来場者は身近な商品を想像しながら、作品をじっくり楽しんでいる。
「東海道五拾三次カード」は、永谷園(東京都港区)のロングセラー商品「お茶づけ海苔(のり)」に入っている。同社によると、1965年に誕生した「東西名画選カード」シリーズで、約30年間続いたが、いったん休止した。
浮世絵ブームや日本文化の再評価もあり、2016年に人気が高かった「東海道五拾三次カード」の封入が復活。現在も人気は衰えず、カードのフルセットが当たるキャンペーンを25年まで延長した。永谷園ホールディングス広報部は「復活のご要望の声をお客さまからいただくほど記憶に残る企画。カードで興味を持っていただくなど、美術作品をより身近に楽しんでもらい文化普及の一助になれば」と話す。
大広重展では「東海道五拾三次」の浮世絵が全て並び、親しみや懐かしさを込めて丁寧に鑑賞する姿が目立つ。ギャラリートークでカードを話題にする青戸貴子副館長は「小さなカードで浮世絵に親しんだ人は多い。ぜひ会場で実物を確かめてほしい」と来場を呼びかける。(今井壮)