正月の神棚に供えるサカキの出荷作業が、松江市東出雲町上意東の福頼貴司さん(70)方でピークを迎えている。スーパーなどで目にするサカキも外国産が増えていく中、神棚には国産のサカキを供えてもらいたいと大切に育ててきた。出荷は年末近くまで続く。
福頼さんは自宅の裏山などで千本以上のサカキ、約千本のマツを育てている。2010~11年の年末年始に山陰地方を襲った記録的な豪雪で、鳥取県西部の弓浜半島の松林が大規模な倒木被害を受けた際には、マツの苗木千本を同県に寄贈したこともある。
サカキは、朝日から日光をたっぷりと浴びる南向きで、さらに弱点である西日を浴びない絶好の条件の山肌で育ち、葉は艶やかな深緑色に。40センチ程度に切りそろえて束にし、松江市を中心に近隣のスーパーなどに年末近くまで出荷する。マツも同様に出荷している。
正月飾りなどが次第に廃れつつある中、福頼さんは「近年、世の中が乱れ、事件や事故が増えてきたことと無関係ではない気がする。1年の感謝と来年も良い年であるよう願いを込めて、神棚にお供えをしてほしい」と話している。