3月6日の参院予算委員会で日本維新の会の猪瀬直樹議員との質疑に臨んだ石破総理が、1冊の本についての感想を語った。その本とは、作家でもある猪瀬氏の代表作ともいえるノンフィクション『昭和16年夏の敗戦』。日米開戦のプロセスなどについて書かれたこの本について、総理は「価値は不滅のものがある」などと大絶賛。質問をする議員への言葉としては異例だが、読書好きの総理としては語らずにはいられなかったのだろう。
ただ、世間では“読書離れ”が進んでいる。昨年、文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、1カ月に1冊も本を読まない人が6割を超えていることが明らかになった。私自身、大学教員時代はこの時期、「どうやってこれから入学する新入生たちに本を読んでもらえばよいか」と頭を悩ませていた。
もちろん、いまの時代、学びの機会は読書だけではない。京都大学オープンコースウェア(OCW)では、同大学で行っている授業や公開講座などの動画や資料など6千3百件を超えるコンテンツを公開している。しかも、「京都大学の知を社会に還元する一環として、高校生や社会人等の一般市民などをターゲットとした講義を中心に、京大の知的資源を無...