鳥取マラソン2025(鳥取市、鳥取県、鳥取陸上競技協会、新日本海新聞社主催)は16日、鳥取市の鳥取砂丘オアシス広場「海潮音の森」付近からヤマタスポーツパーク陸上競技場までの42.195キロで行われ、登録男子は小田俊平(コマネチRC)が2時間18分1秒の大会新記録で初優勝した。河北竜治(宮崎市陸競)が前回大会で出した記録を3分41秒も更新した。蒲生弘毅(神奈川)が2位となり、木畑貴行(花王)が3位に入った。
同女子は初出場の徳永七海(兵庫)が後半に驚異的な追い上げを見せ、2時間58分16秒で優勝を飾った。小柳美王(大阪)が2位、3位は森桐子(松江市陸協)だった。
一般男子は谷口晃太(東部消防)が2時間24分38秒で優勝し、同女子の林ひかる(鳥取市)とともに2連覇を果たした。
登録女子 徳永、驚異の逆転劇
【評】徳永(兵庫)が終盤に逆転した。中間地点までは首位と2秒近くの差が埋まらなかったが、30キロから徐々に追い上げた。35キロ付近で追い抜くと、登録で唯一3時間切りを果たした。小柳(大阪)は序盤から順調にペースを刻んだが、後半に失速し2位。森(松江陸協)は先頭集団に差を広げられながらも粘って3位となった。
終盤勝負〝粘走〟実る 徳 永
徳永七海(兵庫)が初出場ながら栄冠を手にした。アップダウンが続くコースに苦しみつつも「1位を獲得してほっとしている」と喜んだ。
序盤から首位の背中を追う展開が続く中、前後を走る男子選手をペースメーカー代わりに使い、安定した速度を保つよう意識した。終盤にかけて少しずつペースを上げると、35キロ付近で力を振り絞って追い越し、そのまま頂点に立った。
中学から大学時代まで陸上部に所属し、19歳でフルマラソンに挑戦。完走はしたが30キロ地点から足が思うように動かず、苦い思いをした。そこから毎年1回はフルマラソンに出場し、2019年に北海道で行われた別海町パイロットマラソンで自己ベストとなる2時間56分34秒で優勝。マラソンの楽しさを実感した。今回は記録更新はならなかったが「久しぶりのメダルは格別」と喜ぶとともに「プロ選手が出るような大会にも挑んでいきたい」とさらなる高みを見据えた。
女子 上位入賞者
優勝狙っていたので残念
登録女子2位・小柳美王 初出場で寒くてコースもめちゃくちゃきつかった。女子全体で優勝を狙っていたので順位もタイムも残念。でも雨の中、地元の子が応援してくれてうれしかった。温かい大会だった。
前回のリベンジ果たせた
登録女子3位・森桐子 前回は苦いレースだったので、メダルを取ってリベンジが果たせた。寒さとアップダウンが激しくて苦しかったが、沿道の応援が力になり、最後まで集中できた。来年もチャレンジしたい。
一般女子 林 トップ譲らず 鳥取市
【評】立ち上がりから先頭に立った林(鳥取市)が最後までトップを譲らず快勝した。15キロ地点で2位に5分あまりのリードを奪い独走状態。一般女子で唯一の2時間台でゴールした。中田(兵庫)は終盤に遅れたものの、終始1キロ4分30秒前後のペースを守り抜き2位。入江(米子市)は35キロ付近で前走を追い抜いて3位に入った。
雨で失速 悔しい連覇
一般女子を連覇した林ひかる(鳥取市)に喜びはなかった。中盤まで順調に走ったが、30キロ過ぎで失速。息も絶え絶えのゴールに「悔しさしかない」と振り返った。
雨と気温の低さに苦しめられた。手袋などが雨水を吸い込んでしまい体力が削られ、中盤まで守っていた1キロ4分前後のペースが終盤に崩壊。「最後の5キロは足が動かなくなった以外、全く覚えていない」というほど体力を消耗した。
2時間台で今回のレースを走った女子は林を含めて2人だけ。2年連続の好記録にも「もっとタフな体にしなければ」と唇をかんだ。休日や朝晩に練習するため、一度に走れる距離は30キロが限度。「フルマラソンへの距離対応ができなかった」と反省する。
今回の結果を「本当に勉強になった」と謙虚に受け止めた。あまりの悔しさに「マラソンは一休みしたい」と漏らす場面もあったがすぐに「また走るとは思うが」と微笑を浮かべた。
登録男子 小田 独走フィニッシュ
【評】小田(コマネチRC)が2位に13分以上の大差をつけて圧勝した。序盤から先頭集団を形成し、20キロ付近でトップに躍り出た。その後も後続を着実に引き離した。2位の蒲生(神奈川)は集団に食らい付き、粘り強く走り切った。3位の木畑(花王)、4位の斎藤(日税ビジネス)も終盤まで堅実にペースを刻んだ。
ペース堅持で大記録
小田俊平(コマネチRC)が大会記録を3分以上も縮め、全体のトップでフィニッシュした。大記録にも「最後まで同じペースで走り抜いたことが結果につながった」と冷静に振り返った。
決して調子は良くなかった。2月の愛媛マラソンで左足のハムストリングを痛め、2週間ほど十分に練習が積めなかった。さらに大粒の雨が降る悪天候とあって、順位や駆け引きを考えず、1キロ3分20秒のペースを堅持することに専念した。
ターニングポイントになったのは20キロ付近の上り坂。並走していた一般男子の谷口(東部消防)が遅れる中で辛抱強くペースを刻んでトップに立つと、後続に目もくれず、淡々と先頭を走りリードを広げた。
茨城県の出身で大学陸上の名門、青山学院の出身ながら、箱根駅伝など3大駅伝の出場経験はない。卒業後は陸上とは無関係の企業に就職し、業務の効率化を図る部署で勤務をしながら陸上競技を続けている。
マラソンは年に5~6回ほど出場。鳥取マラソンは初出場だが、既に30回以上のレース経験がある。昨年の静岡マラソンは2時間15分36秒で優勝した。それでもサッカーやバスケとともに「あくまでも趣味の一つ」と適度な距離感を保つ。
モチベーションは「全国各地のマラソンに出場すること」。来年は同時期に行われる香川の大会との兼ね合いとなるが、日本中を巡るクールな強者の2連覇に期待が懸かる。
男子 上位入賞者
来年こそ頂点に立ちたい
一般男子2位・北脇秀人 昨年は2位で、今年は優勝を狙っていたが最初から突き放されてしまった。ただ自分のペースを崩すことなく走り切れたので満足はしている。来年こそは調整を重ねて頂点に立ちたい。
名所見られて楽しかった
登録男子2位・蒲生弘毅 3年前に社会人になったのを機にマラソンを始めた。鳥取に来るのは初めて。砂丘などの名所が見られて楽しかった。途中からは寒さとの戦いだった。次に出る時はもっといい順位を狙いたい。
一般男子 谷口(東部消防)意地のV2
【評】総合トップと中盤まで競り合った谷口(東部消防)が、後続を3分以上引き離して2連覇を達成した。終盤に猛追した北脇(米子市)が2位に入った。安定したペースを刻んだ青山(JR米子)が3位。4位の難波(西部消防)は終盤に順位を三つ上げた。5位には岩本(鳥取市)が入った。
家族の応援が原動力に
谷口晃太(東部消防)の2連覇の原動力は、今年に入って1人増えた家族の応援だった。レース後に子どもたちの出迎えを受け、父親は「家族や地域に元気な姿を見せられた」と相好を崩した。
37歳を前にして体の衰えを感じたことに加え、妻の出産を控えて締め切り前日まで挑戦を迷っていた。それでも家族から「出場して」と声援を受け、自らを奮い立たせた。1月に四女のひなたちゃんが誕生。頑張る姿を見せたい家族が増え、練習に力が入った。
レース終盤には沿道で子どもが並走してくれた。右太ももに痛みを感じて「子どもに負けそうなペースでしか走れなかった」と明かしながらも意地を見せてトップでゴール。次女の蛍さん(7)は「順位が早くて格好良かった」とねぎらった。
部門別上位記録
■登録男子■
①小田 俊平(コマネチRC) 2時間18分1秒
②蒲生 弘毅(神奈川) 2時間31分48秒
③木畑 貴行(花王) 2時間32分14秒
④斎藤 拓也(日税ビジネス) 2時間32分43秒
⑤田原 滉己(大阪陸協) 2時間33分42秒
⑥金野 人史(コブターボ) 2時間33分58秒
⑦池本 裕(布勢AC) 2時間35分50秒
⑧池本 大介(境港市陸協) 2時間35分52秒
⑨安東潤一郎(FACT) 2時間36分18秒
⑩谷本 博紀(チーム全力少年)2時間37分18秒
⑪渡辺 祐二(岐阜) 2時間37分29秒
⑫黒田 真伍(TASUKI) 2時間38分8秒
⑬吉冨 恭平(防府走龍会) 2時間38分44秒
⑭杉下 誠弥(愛知) 2時間42分5秒
⑮信藤 涼太(自衛隊米子) 2時間45分37秒
⑯泉 法俊(倉吉市) 2時間45分59秒
⑰園山 朋実(王子製紙) 2時間46分18秒
⑱難波 皓平(鳥取市) 2時間47分5秒
⑲加藤 昌平(布勢AC) 2時間48分11秒
⑳野儀 晋一(東京) 2時間48分44秒
(21)荒金 耕平(島根県庁RC) 2時間48分50秒
(22)平野 雅人(上野塾) 2時間49分9秒
(23)東海林直己(東京) 2時間50分2秒
(24)渡辺 伸一(木谷塾) 2時間50分51秒
(25)吉田 勝紀(岡山ク) 2時間50分53秒
■一般男子■
①谷口 晃太(東部消防) 2時間24分38秒
②北脇 秀人(米子市) 2時間28分2秒
③青山 秀樹(JR米子) 2時間38分19秒
④難波修一郎(西部消防) 2時間40分24秒
⑤岩本 幸大(鳥取市) 2時間40分29秒
⑥小倉 健尊(琴浦町) 2時間40分30秒
⑦藤田 起生(大阪) 2時間40分33秒
⑧吉田 伸明(大阪) 2時間40分52秒
⑨Newton OwenPhilip(岡山) 2時間43分41秒
⑩岩本 慎吾(鳥取市) 2時間43分50秒
⑪藪谷 昌史(RCM) 2時間44分40秒
⑫藤 祐介(真間川走友会) 2時間45分25秒
⑬松崎 邦彦(群馬) 2時間47分49秒
⑭藤沢 真行(島根) 2時間47分54秒
⑮小原 朋浩(米子市) 2時間48分14秒
⑯山崎 大雅(トヨタ自動車) 2時間48分15秒
⑰橋本 拓実(サスケ黒虎) 2時間48分56秒
⑱山本 祐輔(FJC) 2時間49分18秒
⑲大呂 浩人(広島) 2時間49分38秒
⑳橋谷 晃知(小田橋ク) 2時間50分26秒
(21)浅井 教夫(鳥取市) 2時間50分34秒
(22)須賀 洋之(ガースー) 2時間50分45秒
(23)大西 正幸(兵庫) 2時間51分33秒
(24)浅井 崇典(鳥取市役所) 2時間51分45秒
(25)関 隆之(日吉津村) 2時間52分39秒
■登録女子■
①徳永 七海(兵庫) 2時間58分16秒
②小柳 美王(大阪) 3時間3分16秒
③森 桐子(松江市陸協) 3時間7分31秒
④原 美恵(米子市) 3時間12分30秒
⑤樋口 穂南(東京) 3時間17分28秒
⑥塩見 志保(鳥取マスターズ)3時間18分6秒
⑦才田 裕美(東広島市陸協) 3時間27分36秒
⑧横田 聖子(高松市陸協) 3時間30分42秒
⑨正木 志歩(bdac) 3時間31分11秒
⑩岩田みどり(鳥取マスターズ)3時間43分4秒
⑪大橋 恵理(WORLDAC)4時間15分26秒
⑫水内喜美代(奈良) 4時間24分52秒
⑬小野 雪子(東京) 4時間42分4秒
⑭宮田 晴加(広島) 4時間43分53秒
■一般女子■
①林 ひかる(鳥取市) 2時間59分47秒
②中田 早紀(兵庫) 3時間10分26秒
③入江みはゆ(米子市) 3時間19分34秒
④大原 詩音(千葉) 3時間21分27秒
⑤前田 優子(岡山) 3時間22分17秒
⑥田中 晶子(辰年色黒三人衆)3時間22分25秒
⑦福島加菜美(島根) 3時間26分27秒
⑧神脇 貴子(兵庫) 3時間27分46秒
⑨山下 智子(大阪) 3時間27分58秒
⑩高田美由紀(関トラ) 3時間33分37秒
⑪中塚ゆかり(岡山) 3時間33分57秒
⑫寺谷 淳子(鳥取市) 3時間35分42秒
⑬木村 愛富(G走遊会関西) 3時間35分56秒
⑭大中かおり(東京) 3時間36分4秒
⑮岩本 美紀(鳥取市) 3時間36分7秒
⑯山崎 麻里(維新ランナーズ)3時間36分35秒
⑰伊藤 章子(愛媛) 3時間36分42秒
⑱綾木由美加(奈良) 3時間38分18秒
⑲橋本 真理(岩美町) 3時間40分44秒
⑳小谷 桂(FJC) 3時間41分15秒
(21)小野寺 緑(東京) 3時間43分54秒
(22)宝利 真弓(バンバンク) 3時間44分57秒
(23)遠藤 真美(お惣菜の田村屋)3時間46分39秒
(24)近藤 佐枝(岡山) 3時間48分33秒
(25)千田 君子(岡山) 3時間49分43秒
年代別上位記録
■登録男子■
▽29歳以下
①小田 俊平(コマネチRC) 2時間18分1秒
②蒲生 弘毅(神奈川) 2時間31分48秒
③田原 滉己(大阪陸協) 2時間33分42秒
▽30歳代
①斎藤 拓也(日税ビジネス) 2時間32分43秒
②金野 人史(コブターボ) 2時間33分58秒
③池本 裕(布勢AC) 2時間35分50秒
▽40歳代
①木畑 貴行(花王) 2時間32分14秒
②黒田 真伍(TASUKI) 2時間38分8秒
③泉 法俊(倉吉市) 2時間45分59秒
▽50歳代
①浜田 勝義(夢勇気感謝) 2時間51分3秒
②桑田 紹(広島疾風ク) 2時間54分17秒
③前田 恵一(布勢AC) 2時間55分51秒
▽60歳代
①山本 強志(T.VIVA) 3時間5分5秒
②中村 智(千葉マスターズ)3時間22分2秒
③福島 慎吉(モンシャルボン)3時間22分7秒
▽70歳以上
①定祐寿美男(すすお会) 4時間3分22秒
②原 健治(ZKM大阪支部)4時間16分51秒
③徳永 和義(鳥取マスターズ)4時間17分26秒
■一般男子■
▽29歳以下
①北脇 秀人(米子市) 2時間28分2秒
②岩本 幸大(鳥取市) 2時間40分29秒
③藤田 起生(大阪) 2時間40分33秒
▽30歳代
①谷口 晃太(東部消防) 2時間24分38秒
②青山 秀樹(JR米子) 2時間38分19秒
③難波修一郎(西部消防) 2時間40分24秒
▽40歳代
①Newton OwenPhilip(岡山) 2時間43分41秒
②藤 祐介(真間川走友会) 2時間45分25秒
③松崎 邦彦(群馬) 2時間47分49秒
▽50歳代
①岩本 慎吾(鳥取市) 2時間43分50秒
②縫谷 吉彦(トリベイ) 2時間52分42秒
③荻野 肇(布勢AC) 2時間53分2秒
▽60歳代
①高木 剛(埼玉) 2時間55分32秒
②椎名 康久(東京) 3時間23分43秒
③松本 武(倉敷福田走友会)3時間23分55秒
▽70歳以上
①土蔵 康司(大阪) 3時間42分27秒
②足立 正登(NTT京都OB)3時間46分4秒
③藤田 博之(ニッポンランナ)4時間13分14秒
■登録女子■
▽29歳以下
①徳永 七海(兵庫) 2時間58分16秒
②樋口 穂南(東京) 3時間17分28秒
▽30歳代
①小柳 美王(大阪) 3時間3分16秒
②正木 志歩(bdac) 3時間31分11秒
③大橋 恵理(WORLDAC)4時間15分26秒
▽40歳代
①森 桐子(松江市陸協) 3時間7分31秒
②原 美恵(米子市) 3時間12分30秒
③才田 裕美(東広島市陸協) 3時間27分36秒
▽50歳代
①塩見 志保(鳥取マスターズ)3時間18分6秒
②水内喜美代(奈良) 4時間24分52秒
■一般女子■
▽29歳以下
①林 ひかる(鳥取市) 2時間59分47秒
②中田 早紀(兵庫) 3時間10分26秒
③入江みはゆ(米子市) 3時間19分34秒
▽30歳代
①福島加菜美(島根) 3時間26分27秒
②大中かおり(東京) 3時間36分4秒
③伊藤 章子(愛媛) 3時間36分42秒
▽40歳代
①前田 優子(岡山) 3時間22分17秒
②田中 晶子(辰年色黒三人衆)3時間22分25秒
③山下 智子(大阪) 3時間27分58秒
▽50歳代
①神脇 貴子(兵庫) 3時間27分46秒
②高田美由紀(関トラ) 3時間33分37秒
③中塚ゆかり(岡山) 3時間33分57秒
▽60歳代
①千田 君子(岡山) 3時間49分43秒
②亀田 秀子(愛知) 3時間50分48秒
③本多恵美子(品川走遊会) 3時間54分36秒
▽70歳以上
①若木真喜子(若木塾) 4時間48分8秒
②伊藤 邦子(鳥取市) 4時間57分0秒
③田中さい子(岡山) 5時間10分3秒