9月には開始10年目に入る「ハルカス寄席」(近鉄あべのハルカス本店9階、近鉄アート館)が、8月から新メンバーとして露の新治(72)、桂雀々(62)、桂三歩(65)、桂春若(71)、笑福亭松喬(56)、笑福亭銀瓶(55)、桂千朝(67)、桂梅団治(66)、笑福亭生喬(54)、笑福亭枝鶴(66)、桂三象(67)、笑福亭鶴笑(63)のベテラン12人が加わり、出演メンバー総勢35人となることを発表した。
世話人の桂かい枝(54)は「平日2日間に1部、2部の開催。280人の噺家(はなしか)の中から35人を選んで年功序列でない出番を組んでいる。これまでのメンバーに欠けていた部分を、先輩方に入ってもらった」と説明。同じく桂文鹿(53)は「繁昌亭や喜楽館で出来ないこと、つまり江戸の席亭さんの役割を果たす」とキッパリ。これは協会が直接出演者を決めている上方の定席寄席では出来ない“観客本位の人気優先の編成”と“他の仕事との兼ね合いも含め、演者の出順を固定しない”という意味。ベテランが前の方の出番で前座噺を演じたりとバリエーション豊かな編成で落語や浪曲、講談などの上方伝統演芸を楽しませる。
ハルカス寄席は2014年9月30日に「喜楽にらくご あべのハルカス寄席」として、文鹿とかい枝はじめ、桂阿か枝、林家染左、笑福亭由瓶、笑福亭喬若、笑福亭鉄瓶、桂福丸の8人で、月1回ペースでスタート。15年4月から月2回になり、出演メンバーもスタート時の8人から、講談師や漫談のメンバーも加え16人に。さらに17年4月からは週1回火曜開催、現在は週2回月、火曜に。昨年10月から桂二葉ら若手5人が加わり総勢24人になった。 新加入を代表し、東京から参加の雀々は「僕は普段東京で、上方落語協会にも入っていないから声を掛けてもらってうれしい。大師匠(桂米朝)ら四天王は40代、50代でも貫禄があった。僕らはこの歳でも薄っぺらい。せめて後輩たちに刺激を与えたい」と神妙。世話人の2人は「キャリアの長い噺家が入る事で、ベテランと若手の距離感が近くなる。ハルカス寄席の本来のテーマである“勉強会”としての中身を高めていきたい」と意気込む。
開催も9月からは火曜と木曜に変更。第1部・午後1時と第2部・2時半開始で演者が異なり、各1500円。通しで見る場合は2千円。演者は各回3人ずつで1人が30分近くずつ口演。若手・中堅・ベテランと世代別に出番を組むことで、観客は幅広いキャリアの落語やその他話芸を他の落語会では見られない組み合わせにより間近で見られるのが魅力となる。