潮騒 2023.7.25

 日本三大祭りの一つ、大阪天満宮の「天神祭」宵宮(24日)を取材した。重苦しかったコロナ禍を経て4年ぶりに完全復活。祭りの幕開けを象徴する「鉾流(ほこながし)神事」が堂島川沿いの鉾流し斎場で厳かに執り行われた◆中之島の大阪市中央公会堂前から斎場へと続く橋は、その名も「鉾流橋」。橋上からは、赤れんがの公会堂の美しい姿や神事の様子を一望できることもあり、朝から訪日外国人客など多くの人たちであふれた◆現在の橋は戦前昭和の1929年に架設、80年に改修が施された。この間には暗い戦争の時代もくぐり抜けており、趣ある高欄など多くの装飾が戦時中の金属供出によって失われている◆終戦間近となった45年7月の大阪は連日のように各地で空襲があり米爆撃機や小型機が飛来。大阪市以外の府内各地も銃爆撃の標的となった。24日には第7次大阪大空襲があり、此花の住友金属や大阪城の造兵廠(しょう)(砲兵工廠)などが被災、多くの犠牲者が出ている◆戦後の天神祭は49年から船渡御が復活。灰じんに帰した水都・大阪の復興にふさわしい祭りの光景であったはず。今回の完全復活を受け、祭りを支え続けてきた氏子崇敬者ら関係者の喜びはいかばかりであったかと察する。きょう本宮の無事斎行も祈りたい。(佐)

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