歩く自分の後ろ姿を見るのは初めてかもしれない。自分ではもっとシュッとしているつもりだったので、なんだかもっさりしているなあというのが感想だ。NHKが「かんさい熱視線」という番組で、明日を最後に休刊する大阪日日新聞を取り上げてくれ、記者の一人として取材を受けた◆取材をするのは日常だが、取材をされるのは非日常で、いくつか気づかされたことがあった◆筆者が最後の1週間で記事にしたのは大阪に根付いて活動している三つの団体、船場にビール工場を作った中小企業、カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の問題点。番組のディレクターからなぜその団体なのか、なぜ中小企業なのか、なぜIRの問題点を指摘し続けるのかと質問を受けた◆自分の中ではさまざまな思いがあったが、あらためて考え言葉にして伝えることで、自分の気持ちがより明確になった。同じ内容の質問を何度も受けたが、番組を見て、私の思いに一番近い言葉を探してくれていたんだろうと納得した◆同じ内容の質問を受けても、取材者の言い回しや取材を受けた場所で少しずつ違った答えをしている自分がいた。まだまだ学ぶことは多い。相手の心底の思いを引き出せる記者を目指し、さて次はどこで書こうか。(木)