チベット高原を起源とする大型の哺乳類・チベットケサイをテーマにした特別展「化石ハンター展」が、大阪市住之江区の大阪南港ATCギャラリーで開かれている。世界初公開となる全身骨格復元標本や生体復元モデルを展示。氷河時代の大型哺乳類の拡散、進化を示す「アウト・オブ・チベット説」に迫っている。9月25日まで。
王暁鳴博士が2007年、チベット高原西部のザンダ盆地でコエロドンタ属(ケブカサイのグループ)の頭骨の化石を発見。調査の結果、新生代鮮新世(約500万~320万年前)の地層にあり、同属の中でも最も原始的な新種(チベットケサイ)と分かった。
アウト・オブ・チベット説は、北極圏よりも先に厳しい寒冷環境にあった鮮新世のチベット高原の哺乳類が、氷河時代が来るとアジアや高緯度地域に進出したという説。チベットケサイの発見はこの説が提唱されるきっかけになった。
復元標本のテーマは「家族を守るために威嚇しているオス」。変形していた頭骨をデジタルで元に戻し、発見されていない体の部分はケブカサイをベースに再現した。生体復元モデルは2体で、どちらも首元にくせ毛をもたせ家族であることを表している。
また会場では映画『インディ・ジョーンズ』シリーズの主人公のモデルの一人でもあるロイ・チャップマン・アンドリュース(1884~1960年)ら化石ハンターの活動や成果を紹介。プロトケラトプスやタルボサウルスなどの恐竜の全身骨格も展示している。
主催団体の一つである大阪市立自然史博物館の川端清司館長は「ほぼ同じ会期で自然史博物館では『恐竜博2023』も開催しており、両方ご覧いただくと恐竜の起源である2億3千万年前から氷河時代までの脊椎動物の進化を俯瞰(ふかん)できる」とアピールした。
当日一般・大学生1800円、中高生900円、子ども600円、3歳未満は入場無料。