最大の魅力は何だろう。未完であるということかもしれない。それはつまり、常に変化し続けているということであり、新たに生まれ続けているということでもあるのだから―。
ぼんやりそんなふうに考えていたスペインのサグラダ・ファミリア聖堂の完成時期が、いよいよ視野に入ってきたという。着工から約140年。この「未完の聖堂」に生涯を捧げた建築家、アントニ・ガウディ(1852~1926年)の建築思想や聖堂の美しさを探る「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が東京国立近代美術館で開かれている(9月10日まで。滋賀、愛知へ巡回予定)。
■発見からの出発
サグラダ・ファミリアが生まれた背景には、産業革命による貧富の差の拡大がある。バルセロナで書店と出版社を経営していたジュゼップ・マリア・ブカベーリャが創設した「聖ヨセフ信心会」が、貧しい人々の献金によって聖堂を建築することを発案した。このことにより、聖堂の建築には常に資金難がまとわりつくことになる。
着工は1882年。ガウディは2代目建築家で、83年に31歳で就任する。
ブカベーリャはガウディの見解として10年で完成させると公表した。1891年に巨額献金があっ...