JRと私鉄が並行して走っている区間では、私鉄の方が駅間の距離が短いことが圧倒的に多い。全国の鉄道網たる国鉄と、地域輸送に力点を置く私鉄との違いによるのだろう。品川―横浜間は、JR(京浜東北線)は途中に7駅しかないが、京急は23駅。関西に目を向けても、JRの大阪―三ノ宮間は13駅、阪神の大阪梅田―神戸三宮間は30駅だ。
だがJRにも駅数が多い路線があり、その代表とも言えるのが豊橋(愛知県豊橋市)と辰野(長野県辰野町)を結ぶ飯田線。駅の数は92(両端を除く)。時刻表の巻頭にある地図を見ても、駅を示す○が数珠のようにつながっている。というのもこの飯田線、もともとは豊川鉄道、鳳来寺鉄道、三信鉄道、伊那電気鉄道という4社の路線が戦時中の1943年に国有化された「元私鉄」組なのだ。
飯田線は、豊橋からいったん北西に進み、東海道線や名鉄に別れを告げると北東に向きを変え、愛知、静岡県境を越えてから天竜川沿いに北上するのだが、天竜川に出合った辺りでまっすぐ進んだらいいような約10キロを「コ」の字のように迂回(うかい)する。ご存じの方も多いと思うが、佐久間ダムの建設に伴い、55年に線路が大幅に付け替えら...