遺体切断事件で医師逮捕 病院関係者に「惨事ストレス」ケアを

  •  香山リカ

 札幌・ススキノのホテルで男性の切断遺体が見つかった事件で、親子3人が逮捕された。その中の父親と私は、「精神科医で北海道の医療機関で働いている」という共通点を持っている。父親の知人によれば、周囲の人たちは大きなショックを受けているという。

 まだ3容疑者の役割や動機などは明らかにされていないが、この事件に衝撃を受けたのは私だけではないだろう。その医師が勤務する病院の患者さんの中には、動揺してパニックに陥っている人もいる、とそこで医療職についている知人から聞いた。当然だろう。同時に、患者さんたちのケアにあたり、外部からの問い合わせなどにこたえる医療職、事務職の職員たちの疲弊も相当なものだという。たいへんに心配な状況だ。

 大災害が起きたとき、警察や消防、自衛隊、医療従事者、自治体職員らは、いち早く凄惨な現場で被災者の救出や援助にあたらなければならない。この種の現場で彼ら支援者と呼ばれる人たちが受けるストレスは「惨事ストレス」と呼ばれ、近年、その深刻さや心理的ケアの必要性に注目が集まっている。「プロなのだから後まわしでよい」といった意見もあるが、彼らがストレスから燃えつきてしまったりうつ病にな...

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