インドネシアの首都ジャカルタ北部のファタヒラ広場。古い街並みが残る一角に、隠れ家のようなカフェを見つけた。店内にはサイホンやドリップ用の器具が並んでおり、メニューにあるのは伝統飲料「ジャムー」のみの店だ。
ジャムーは、ウコンやショウガなどのエキスを抽出して作る。この店は若い世代にも親しんでもらおうと、ソーダやヨーグルトで割ったり、蜂蜜やレモンを加えたりなど、アレンジを加えたメニューを提供するのが特徴だ。
「20年ほど前は、さまざまな植物のエキスが入った瓶を背負ったジャムー売りが毎朝、家の前まで売りに来ていた」。一緒にカフェを訪れたインドネシア人の知人は、中学生のころに味わって以来だという懐かしい苦みに昔を思い出していた。
筆者は初めての味に最初はやや戸惑ったが、すっきりとしていて思いのほか飲みやすい。独特な苦みも植物エキスの効用の証しだと思い、一気に飲み干して店を出ようとすると、20代の若者たちが入れ替わりに入ってきた。やはり、現代風にアレンジされたジャムーがお目当てだろう。こうして、インドネシアの伝統文化が若い世代に引き継がれていくのかもしれない。(インドネシア)
▽飲食店での相席...