すごいことが起きた。国立科学博物館(科博)が実施したクラウドファンディングの支援額が、開始からわずか3日で5億円を突破したのだ。目標の1億円は開始から9時間半で達成され、館長は「ただただ驚いている」とコメントした。
ただ、なぜ国立の施設が一般の人たちから資金集めをしなければならなかったか、と考えると手放しでは喜べない。標本や資料の保管をするための資金繰りが厳しくなり、国からの予算増も見込めなかった、というのだ。
私が現在、働く診療所のある北海道むかわ町穂別にも、恐竜など古生物の化石で人気の博物館がある。何度も通ってわかったのだが、博物館の仕事は展示だけではなく、膨大な化石標本を管理し、内部での研究や外部への学習支援を行うのも重要な役割だ。実際に穂別博物館ではこの7月、所有しているアンモナイト化石が新属新種だと判明したことを発表し、全国的な注目を集めた。これも地道な研究の成果だ。
ところが日本では昨今、こうした基礎研究のための予算が削減され続けている。先ごろ発表された文科省の「どの国の研究論文が、世界各国の研究者に引用されているか」の調査結果で、日本は過去最低の13位となったことがわか...