「命の危険感じた」 鳴り響く警報音、避難急ぐ 台風7号、鳥取県東中部

 ただちに命を守るための最善の行動を-。台風7号が鳥取県に最接近した15日、県内では東中部を中心にこれまで経験したことのないような大雨が降り続いた。鳥取市内全域には大雨特別警報が発令され、土砂災害や河川氾濫が発生した恐れがあるとして警戒レベル5の「緊急安全確保」も発出。対象地域の住民らはけたたましいアラーム音が鳴り響く中、避難を余儀なくされ、不安な中で盆送りの夜を迎えた。

 鳥取市佐治町の佐治川ダムでは大雨によるダムの決壊を避けるため緊急放流を実施。下流の河川で氾濫被害が発生する危険が高まり、避難所となった佐治町コミュニティセンターには多くの避難者の姿があった。夫婦で避難した同市佐治町加瀬木の岡部文徳さん(70)は「普段は川底の石が見えるほどの水量だが、一気に増えた。50年くらい住んでいるが、命の危険を感じて初めて避難した」とおびえた表情。「子どもの帰省とかぶらなくて良かった」と肩を落とした。

 同市佐治町津野の梨農家、茂上幸公さん(68)も家族で避難。「家の近くに山と用水路があるので怖くてすぐに避難した。前回の台風6号の強風でかなり二十世紀梨がだめになり、これ以上は商売にならない。21日の本格出荷を前にお手上げだ」と不安を募らせた。

 同市用瀬町の無職女性(77)は近所の人たちが公民館に避難する中、自宅2階での待機を選んだ。「帰省中の娘家族が一緒にいてくれたので心強いが、こんな怖い思いはしたくない」とおびえた。

 県中部の三朝町では、町内を流れる小鹿川や三徳川で水位が上昇し、町内全世帯に避難指示(レベル4)が発令。避難所に指定された町総合文化ホールと三徳センターなどに町民らが身を寄せた。

 このうち、傾斜地に住むという名越久美子さん(73)=同町山田=は車を持っていないため、母(96)と一緒に町職員に町総合文化ホールまで送迎してもらった。このまま一夜を明かす予定で「ゴロゴロと石が転がる音が聞こえて恐怖を感じた。(台風が)早く通り過ぎてほしい」と祈った。

この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事