鳥取県大山町で、アメーバのような単細胞生物「粘菌」が発光しているのが確認された。専門家らは「これまで粘菌が光ることは確認されておらず、史上初の発見の可能性がある」と注目する。
見つけたのは同町下市の自然観察指導員、白石泰志さん(42)。6月16日の午後11時ごろ、同町羽田井の甲川の上流部を訪れた際、朽ち木で2、3ミリ程度の粘菌が緑色に発光しているのを見つけた。近くには暗所で緑色に発光することで知られる1センチ弱のキノコ「ヤコウタケ」が生えており、当初は「かさを開く前のヤコウタケか」と思ったが、観察しているうちに粘菌だと気づいたという。
専門家らに情報を共有すると、見た目の特徴から「シロウツボホコリ」という粘菌とみられると指摘があった。粘菌はキノコを食べることで知られ、ヤコウタケを食べて発光していた可能性などが考えられるという。白石さんは町内の他の場所でもシロウツボホコリを観察したが発光する様子は見られなかった。
白石さんは発光していた粘菌を採取し、和歌山県立自然博物館で粘菌を専門とする川上新一主査学芸員に送り研究してもらうことにした。川上主査学芸員は「光る粘菌は見たことも聞いたこともない」と驚きつつ、「受け取った際にはもう光っておらず、研究がどこまでできるかは未知数だが大きな一歩。キノコと同じ発光のメカニズムがあるのか、キノコとは違う新たなメカニズムなのか、興味深い」と話した。
白石さんは「今回の発見は大山の豊かな自然を証明するもの。在来の自然が守られてきたエリアであり、まだまだ新しい生物や植物が見つかる可能性はある」と話した。