金箔(きんぱく)の概念を変えるアート作品の展示会が8月初旬、東京・渋谷で開かれた。「箔と透過光」をテーマに、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授を務めるデザインエンジニア吉本英樹さんの個展だ。金箔にレーザー加工で微細なメッシュ状の穴を開け、光を透過させるという新たな表現方法で陰影を付け、太陽や惑星をイメージさせる作品を編み出した。
吉本さんは東京大学で航空宇宙工学を専攻した後に英国のロイヤル・カレッジ・オブ・アートで博士課程を修めたという、デザイン界ではかなり異色の経歴をたどってきた。2015年にロンドンにデザインスタジオを設立し、デザインとテクノロジーを融合させる手法で、エルメスなどの高級ブランドを顧客に製品開発から展示会ディレクションまで、多方面で活躍している。21年に帰国した吉本さんが今回、日本で初めて開いた個展を機に話を聞いた。
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―今回の展示会「DAWN」(=夜明け)では、金色一色だと思っていた箔に青や茶、黒とさまざまな色がまだらに浮かび上がって、金箔のイメージが覆されました。
箔と光の関係の「発明」みたいな展示です。エジプトのツタンカー...