全てを“中国からの迷惑電話”と決めつけず、丹念な説明を

  •  香山リカ

 「抗議やクレームの電話」と「迷惑電話、いやがらせ電話」との線引きはなにか。中国からの「迷惑電話」とされる電話をめぐって、かつて経験したできごとを思い出した。

 その電話とは、福島第1原発の処理水の海洋放出が始まって以来、自治体などに「なぜ排出するのか」などとかかってくるもののことだ。その多くが中国の国番号で始まる電話番号からだと報じられている。

 岸田首相は記者に対して「中国発とされる多数の迷惑電話、日本大使館、日本人学校への投石などが行われ、これは遺憾なことであると言わざるを得ない」と、それを「迷惑電話」と表現したが、かける側の目的は本当に「迷惑をかけること」なのだろうか。あるいは、国内からの抗議や疑問の電話もそこに含まれているということはないか。

 個人的なことになるが、知人がかつて、自分が居住する自治体のある動きをめぐって役所に抗議の電話をかけたことがあった。ほかにも多くの電話があったようだったが、そのときの報道も「迷惑電話、相次ぐ」となっており、知人は「真意が伝わらなかった」と失望していた。もちろん、電話を受ける側にとっては業務が中断されるのは“迷惑”かもしれないが、かけた知人は真...

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