日本の生産活動が明確に回復するまでにはしばらく時間がかかる

  •  永浜利広(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

 先週、経済産業省から公表された7月の鉱工業指数によれば、生産指数が前月比2.0%低下と、2カ月ぶりにマイナスに転じました。業種別では、自動車工業は回復が続きましたが、生産用機械工業や電子部品・デバイス工業、汎用(はんよう)・業務用機械工業等が大きく低下に転じ、機械系業種の停滞感が目立ちました。

 そして、先行きを判断する上でより重要な製造工業生産予測指数によれば、8月が前月比2.6%上昇、9月も2.4%上昇を見込んでいますが、経産省がより精度を高めるために補正した8月の試算値は1.4%の低下となりました。このため、仮に8月が試算値通り、9月が予測指数通りとなれば、7~9月期の生産指数は2四半期ぶりの減産になる可能性が出てきたと言えるでしょう。こうした結果を受けて、経産省の生産活動に対する基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」から「一進一退」に引き下げとなりました。

 さらに、8月29日に発生したトヨタ自動車の国内工場稼働停止が自動車の8月分の生産指数を押し下げる可能性があることにも注意が必要でしょう。8月は営業日数が少ないこともあり、1日当たりの操業停止がその月の生産指数に及ぼす影響が大き...

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