#2025鳥取県美 -先進施設に学ぶ- (11)八戸市美術館

  • 市の中心部に建つ白っぽい箱形の八戸市美術館。従来の作品展示だけではなく、人々のさまざまな活用によってまちの成長につなげていく
  • 「今までにあった美術館とは違うかたち。始まったばかりで試行錯誤中」と話す佐藤館長
  • 「今までにあった美術館とは違うかたち。始まったばかりで試行錯誤中」と話す佐藤館長
  • 可動式の家具と巨大カーテンで多様な使い方を可能にした「ジャイアントルーム」。この日は企画展はなく、飲食も自由で市民らが気軽に使っていた
  • 個性や持ち味を生かしたアートファーマーが美術館前でパフォーマンス。きむらとしろうじんじんさん(左)の「八戸野点2023」に大勢の市民が集う

 種をまき、人を育み、100年後の八戸を創造する-。八戸市美術館(青森県)は、作物が実るように人やまちが育つ畑(ファーム)のような美術館を標榜(ひょうぼう)する。そのコンセプトを象徴する同館の「ジャイアントルーム」は、多様な使い方を可能した他に類を見ない巨大展示室。「もの」としての美術作品の展示が中心だった従来の美術館とは異なり、「ひと」が活動する空間を大きく確保することで、「もの」や「こと」を生み出す新しい形の美術館を目指している。

 八戸市美術館は2021年にリニューアルオープン。市役所や市公会堂、八戸ポータルミュージアムはっち、八戸ブックセンターなど、徒歩5分圏内に文化・観光施設、飲食店が集積する。

 八戸市は人口22万人の青森県第2の都市。漁業、工業が盛んで、長距離トラックを派手に飾る「デコトラ」発祥の地とも言われ、「三社大祭」の山車は市民が手作りするなど、自らものづくりに携わる市民が大勢いる。

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#2025鳥取県美 -先進施設に学ぶ- (記事一覧へ)

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2025年春に予定する鳥取県立美術館の開館まで約2年となった。着工寸前での凍結、ゼロベースからの再検討、立地を巡る綱引き…。都道府県単位の美術館としては全国でほぼ最後に建設され、開館は県民の悲願と言える。ただ、いまだに「どんな美術館になるか分からない」との県民の声は多い。他の都道府県の公立美術館の運営や展示、地域との関わりなどを取材する企画「#(ハッシュタグ)2025鳥取県美~先進施設に学ぶ」を月1回掲載し、約63億円の投資効果に見合う「公共財としての美術館の役割」とは何かを探る。

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