種をまき、人を育み、100年後の八戸を創造する-。八戸市美術館(青森県)は、作物が実るように人やまちが育つ畑(ファーム)のような美術館を標榜(ひょうぼう)する。そのコンセプトを象徴する同館の「ジャイアントルーム」は、多様な使い方を可能した他に類を見ない巨大展示室。「もの」としての美術作品の展示が中心だった従来の美術館とは異なり、「ひと」が活動する空間を大きく確保することで、「もの」や「こと」を生み出す新しい形の美術館を目指している。
八戸市美術館は2021年にリニューアルオープン。市役所や市公会堂、八戸ポータルミュージアムはっち、八戸ブックセンターなど、徒歩5分圏内に文化・観光施設、飲食店が集積する。
八戸市は人口22万人の青森県第2の都市。漁業、工業が盛んで、長距離トラックを派手に飾る「デコトラ」発祥の地とも言われ、「三社大祭」の山車は市民が手作りするなど、自らものづくりに携わる市民が大勢いる。