先週、岸田文雄首相が所信表明演説を行い、税収増の還元で国民負担を緩和すると表明しました。その後の「政府与党政策懇談会」で、扶養家族を含めて1人当たり計4万円の所得税と住民税の定額減税を実施する方針を述べました。減税対象にならない住民税非課税世帯へは1世帯当たり7万円を給付するとしています。
そこで、まず注目されるのが減税・給付の規模でしょう。こちらについては総額5兆円程度になると見込まれます。
続いて実際に家計に恩恵が及ぶ時期としては、所得税は暦年課税となりますので、減税は来年度予算の中で行われます。岸田首相は減税の時期について「来年6月から」と述べました。給付は減税に先行して年内に始めます。
そして肝心の経済への影響としては、内閣府の最新マクロモデルの乗数に基づけば、個人所得税を名目国内総生産(GDP)の1%相当額だけ減税すると、その年の実質GDPを0.21%押し上げることになっていますので、仮に年5兆円の負担減規模を想定すれば0.18%(1.0兆円)程度の実質GDP押し上げ効果と計算されます。
ただ、減税は給付金よりも家計への恩恵が遅れることに加え、給付も併用するとすれば税務署と...