日銀は先週の金融政策決定会合で、長期と短期の金利を操作し適切な水準にしようとする「イールドカーブ・コントロール」政策を微修正しました。具体的には、7月の会合以降に長期金利である10年国債の利回りの上限を1%としていましたが、今回の会合で1%を上限の「めど」とし、若干上回ることを容認することにしました。
ただ、事前には長期金利の上限を厳格に引き上げる見方もありましたので、市場には金融政策の修正が限定的だったと映り、日銀が金融緩和を粘り強く進める意思を強く受け取ったものと推察されます。
その日銀のスタンスは、同時に公表された日銀の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」からも垣間見えます。というのも、生鮮食品を除く消費者物価上昇率の見通しによると、2023年度が前年度比2.8%、24年度が2.8%とインフレ目標2%を大きく上回っているものの、25年度は1.7%とインフレ目標2%を下回っているからです。つまりこれは、日銀が依然として賃金物価の好循環に基づく持続的・安定的な2%インフレに対して自信を深めていないことを示しています。
仮に日銀が次に政策を修正するとなると、イールドカーブ・コント...