長い歴史を誇る早稲田大のキャンパス(東京都新宿区)には学外に門戸を開いた文化施設が多い。最近では、卒業生である作家村上春樹さんの関連資料を収蔵する文学館がオープンし話題だ。(共同通信=中井陽)
東京メトロ早稲田駅を出て大学正門を目指すと、「大隈講堂」の王冠のような時計塔が目を引く。大学の象徴でもある講堂は1927年の完成で国の重要文化財。大学行事のほか、ヘレン・ケラーさんら著名人の講演会場となった。
講堂を見つめるようにして立つ初代総長・大隈重信像の北側へ歩くと、白い建物がある。周囲にうねりのあるひさしが巡らされ躍動感がある。建築家隈研吾さんが手がけ21年に開館した「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」だ。村上さんが寄託寄贈した原稿などを収蔵している。
地下1階から地上2階が吹き抜けの「階段本棚」には思わず見入ってしまう。階段の両脇は本棚で下から見上げるとトンネルに光が差し込んでいるようだ。豊富な書籍以外にも、村上さんゆかりの音楽を楽しめるオーディオルームやラジオ番組の収録ができるスタジオ、学生主体で運営するカフェもある。
村上さんは文学館に寄せた文章に「僕らは息をするのと...