俳優の村井良大さんが自身の体験や作品への思い、これからを語る連載(全5回・木曜更新)の第2回。(※トーク音声連動記事です。末尾をご覧ください)
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俳優になろうと思った日のことは、よく覚えています。高校3年の時、自転車で校門を出ようとした瞬間にふと思い浮かびました。「俳優って、楽しそうだな」と。
書店へ直行し、オーディション雑誌を購入し、掲載されていた芸能事務所のうち、いくつかに履歴書を送りました。面接の結果、そのうちの1社に合格しました。
進学も考えました。ただ、姉と兄が2人とも大学を中退して専門学校へ行ったのです。僕は学費を無駄にしないよう、途中で方向転換せずに進める道を探しました。
俳優になっても最初はアルバイトと掛け持ちです。1年ほどたって、オーディションで連続ドラマの主演に決まりました。「風魔の小次郎」(2007年)です。先輩が多い撮影現場で、ものづくりの楽しさを覚えました。
最後の撮影は1人の場面。終了すると、待ち受けていた共演者が胴上げしてくれたのです。右も左も分からない子どもでしたが、皆さんは「頑張っているなあ」と見てくださっていたのでしょう。「こんなに...