米子市出身の若者たちが、スッポンやチョウザメの養殖、販売を行う兵庫県香美町小代区の小代内水面組合(増田時雄組合長)の事業承継に乗り出している。新事業立ち上げのため養殖場を探していた若者と、後継者を探していた同組合の思惑が合致。若者たちは新会社「月とすっぽん」を軸に、国内外への販路拡大や米子市でのスッポン料理店開業などを目指している。
事業承継に乗り出しているのは、幼なじみで米子市蚊屋出身の安藤優汰さん(24)と北浦雄亮さん(27)、安藤さんの大学の後輩で群馬県出身の小林憲伸さん(21)の3人。
境港市でカニ卸の仕事に携わっていた安藤さんが、育てやすく安定供給が見込めるスッポンに目を付け、養殖場建設を2人に提案。インターネットで小代内水面組合を見つけ、稚ガメを譲り受けようと今年8月中旬に訪問した際、増田組合長(79)から「任せられる人が見つかれば、引き継ぎたい」と持ちかけられた。
養殖設備が整っていることやノウハウを学べることなどが決め手となり、3人は事業承継を決断。すでに鮮魚店や飲食店への営業活動を行っているほか、小林さんが10月から小代区に住み、増田組合長から養殖について学んでいる。
同組合は2003年の設立で、現在はビニールハウス6棟でスッポン約千匹、チョウザメ約100匹を飼育し、食材として出荷している。しかし、事業を主に担っていた増田組合長が高齢であることから、後継者を探していた。
3人について増田組合長は「手を挙げてくれてありがたい。若者のアイデアで小代のスッポンを世界に広げてほしい」と期待する。
老朽化した養殖場の修繕や新商品の開発などに充てる資金を集めようと、安藤さんたちは現在、クラウドファンディング(CF)を実施。目標金額は200万円で、来年1月3日午後11時まで受け付け。返礼品には、スッポン鍋セットやキャビア、スッポンとチョウザメの所有権などを用意している。
安藤さんは「ただ資金を集めるだけでなく、後継者不足が進む地方の現状や事業承継という選択肢を多くの人に伝え、社会課題の解決につなげたい」と話している。
問い合わせは電話090(9417)5577、安藤さん。CF受け付けサイトのURLは、https://readyfor.jp/projects/tsuki-to-suppon