若桜町と地元有志 「そば職人」を育成 栽培から製造まで 技術伝授し開業目指す

産地化へ、地域活性化図る

 寒暖差の大きい気候を生かし古くから地域でそばを栽培している若桜町が、そば職人の育成を計画している。同町のそばは地元グループがイベント時に振る舞うなどして好評を得ているが、常時食べられる店舗はなかった。そこで町がそば職人に興味のある人を募り、地元グループと連携して職人として育成。そば屋の開業を後押しし「そばの産地化」を目指しながら、地域活性化を図るユニークな試みだ。

 若桜町では複数の集落でそばを栽培しているが、出荷よりも各家庭での消費が大半だった。このうち吉川集落の30~60代の村づくりグループ「吉川YYC」は、旧池田村で栽培されてきた在来種のそばの種を譲り受け、15年ほど前から栽培。赤松や岸野、つく米などの町民にも種を配布し、休耕田を活用して栽培に協力してもらってきた。

 収穫したそばの実はそば粉に加工し、地元のイベントや収穫祭などの際に手打ちそばを振る舞ってきた。町と友好交流協定を結ぶ韓国・平昌郡でのイベントに出店した経験もある。なめらかな触感とつるりとしたのど越しが特徴の「二八そば」で、香り高く、食べた客からは「おいしい」と好評だ。

 「吉川YYC」メンバーの津村光明さん(68)によると、以前鳥取市のイベントに出店した際に「どこで食べられるか」といった声があり、「地元に常時食べられる店があれば」と考えたが、メンバーはそれぞれ仕事があったため開業は難しかったという。

 そこで町とタッグを組み、そば職人に関心のある者を地域おこし協力隊員として募ることに。同グループの活動に参画しながら栽培・製造の経験を積み、町内でのそば屋の開業を目指してもらう条件で、今秋に募集を開始したところ、1人の応募があった。津村さんは「地元にそば屋ができれば雇用創出になり、そばを栽培する町民の力にもなる」と期待を寄せる。

 一方、上川元張町長も「地域経済の振興や町内で増加傾向にある耕作放棄地、空き家の活用など課題解消にもつながると思う」と、町内でのそば職人の育成といったユニークな事業に自信をみせ、「地域おこし協力隊の技術習得をサポートし、町内全域でそばの産地化を目指したい。今後は協議会の立ち上げも考えている」と展望を語った。

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