先日、友人がスルメを骨酒のように熱燗(あつかん)を注いで飲んだら「うまかった!」というが、酒なら何を呑(の)んでもうまいと言うから、この人の酒に対する評価は信用できない。私はアルコールが得意な方ではないが、それでもイワナの骨酒やフグのヒレ酒程度は試したことがある。案外世間の酒好きも決まった銘柄のビール、お気に入りの焼酎や日本酒を同じ楽しみ方で過ごしていることが多いようだ。
食通で知られる某名人にうかがうと、カワハギの身を食べた後の骨とヒレを焼いて骨酒にすると絶品と聞いた。対してアジはいまひとつらしい。骨酒に適している魚は、カワハギ、ガシラ、メバル、アマダイ、マダイ、アイナメ、ヒラメ、アコウなどで、期待外れの魚はアジ、タチウオ、キスなど、とのこと。
ただし、いくら適している魚とはいえ新鮮な魚でなかったら生臭さが残るらしい。そう考えると、この骨酒を次々と試せるのは釣り人でこその特権のようなものだ。
▽丸干しの骨酒
番外編として、釣った魚ではないが、ウルメイワシの丸干しが案外いけるとの情報を得て、早速、家にあったイワシの上乾丸干しで試した。熱燗を注いで5分ほどおくと、飴(あめ)色になり、コーヒー色の成分が底に沈殿している。ダシが十分出ているのが一目瞭然。好みもあろうが、その味は一応合格点。フライパンで十分に乾煎(い)りして熱燗を注ぐだけと、お手軽この上ない。ぜひお試しあれ。