民芸の美 展示空間に 旧吉田医院で浜田庄司展 17日から

 民芸運動の創始者の一人で、近代陶芸の巨匠、浜田庄司(1894~1978年)の生誕130年を記念した展示即売会が、17日から鳥取市瓦町の旧吉田医院を主会場に開かれる。鳥取で新作民芸運動を実践した同市の医師、吉田璋也と親交があり、地元との縁が深い。吉田自らが設計した民芸の美の象徴でもある建物が展示空間となり、浜田のほか、次男・晋作(1929~2023年)、孫の友緒さんの3代の作品が一堂にそろう。

 京都で釉薬(ゆうやく)の研究をした後、英国に渡った浜田は、庶民の実用的な手仕事に美を見いだす民芸の思想に共鳴し、帰国後、柳宗悦や河井寛次郎らと民芸運動を展開。1930年、栃木県益子町に浜田窯を築き、益子を陶芸の一大産地に押し上げた。55年に第1回重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。68年に文化勲章を受章した。

 鳥取とのつながりも深い。鳥取民芸美術館によると、地方ではかなり早い32年に同市の陶器店で個展を開いたほか、吉田の招きで柳やバーナード・リーチらと複数回来県し、阿弥陀(あみだ)堂や牛ノ戸焼などを訪れた。山根窯や延興寺窯など、浜田の影響を受けた地元の作り手もいるという。

 国登録有形文化財に指定されている同医院は、吉田が意匠を手がけた新作民芸建築の集大成の建物として知られる。年に数回、特別公開されるのみで、見学以外に使われるのは初めて。浜田が得意とした釉薬を流し掛けた大胆な模様のつぼ、2代、3代の作品計130点が待合室や診療室など医院内部に展示される。

 企画した鳥取たくみ工芸店の田中司主任(41)は「浜田庄司は柳らと民芸をつくり、陶芸家として体現した人。民芸の美意識が詰まった空間で見てもらい、医院の新たな活用につながれば」と話した。

 ◆「浜田庄司・晋作・友緒三代展」は17、18、19、25、26日、旧吉田医院。関連展覧会「浜田窯展」は17日から27日まで、同市栄町の鳥取たくみ工芸店で開催。

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