釣れ釣れ草 2024年 アユ開幕! アユは年魚

 アユは、晩秋に下流の砂交じりの砂利底に産卵し、約2週間で孵化(ふか)した子は海に下る。産卵を終えた親は、疲弊した体を波間に漂わせて、鳥や他の魚の餌食になって一年の生涯を終えるので、香魚の他に年魚ともいわれる。

 海に下った子アユは、波の静かな沿海域を群泳し、プランクトンを餌として育ちつつ越冬する。春になり川水の温度がぬるむと、5~7センチに成長した稚アユは慕いよって集まり、やがて大小の群れとなって川を遡上(そじょう)する。遡上の途中にはさまざまな障害があるが、可憐(かれん)な稚アユがひたすら上流に向かうさまは、本能とはいえ涙ぐましさすら感じるのは私だけではないはずだ。その最初の集団を「一番のぼり」という。

 やがて石底地帯に達すると、珪藻(けいそう)類の植物食に変わる。釣り人は、この石につく珪藻類をアカと呼び、その食料の占有を脅かす侵入者を猛然とタックルし、撃退するアユの習性を巧みに利用した釣りが友釣りだ。

 日野川、千代川など県内の主要河川で6月1日から待ちに待ったアユの友釣りが解禁する。日野川といえば、30~40年前になるであろうか、「このままでは日野川が死んでしまう」と、立ち上がった日野川流域の「日南の水を守る会」の青年たちと平成昭和を代表する大名人、大西満さんとの復活劇のドラマが思い出される。

 このドラマの顛末(てんまつ)は後日に記すが、とにかく今年は、天然遡上が良さそうで期待が持てると占っておく。

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