うそがない本心で詠む 5冊目は川柳句集 元中学校教諭の河原さん 本紙の投稿作品も

 元中学校教諭の河原清夫さん(72)=鳥取市福部町細川=が、川柳句集「他働性生涯」を発表した。2022年に余命宣告を受けてから自身の歩みや創作作品を本にまとめる活動を続け、今回が5冊目。川柳を始めてから現在まで16年間にできた作品の中から、本紙日本海柳壇の投稿作品など約1200句を収録した。

 河原さんは22年3月に血液のがんで「このままでは余命1年」と宣告された後、「生きた証しを残そう」と教育実践集や、詩集など出版活動に精力的に取り組んでいる。

 川柳は、退職後の08年から本格的に始め、地元福部の「ふくべむら川柳会」で故両川洋々氏の指導を受けながら腕を磨いた。洋々氏が他界後に創作の「大きな励み」になったのが日本海柳壇。毎月投句を続け22年には「地雷置くロシア兵にも母はいる」で年間最優秀作品の茗人賞を受賞した。

 句集は作成年ごとに分け、日本海柳壇の掲載作品や自由吟、連作を収録。「待つ今日も赤いバイクは行き過ぎる」は、初めて納得ができた「最初」の一句。東日本大震災から7年後に作った「津波忘れ静かな深い海の色」や、アフガニスタンで19年に殺害された医師、中村哲さんをしのぶ「アフガンを緑に変えた鉄の意志」など、思い入れの強い作品がそろった。

 また河原さんは生きづらさを抱える人たちを支援する活動にも力を入れており、句集には人権問題の解決を望む気持ちなどを1年間連載した本紙「潮流」の掲載文も収めている。

 余命宣告を受けて2年がたつ河原さんは「他人の喜びを自分の喜びとする生き方は、実は大変幸福な生き方だった。自分の心にうそをつかない正直な気持ちは、この川柳の中にも息づいている」と話した。(北野保司)

 ◇川柳句集「他働性生涯」はA5判153ページ、非売品。希望者に無料で配布している。問い合わせは電話090(8067)7687、河原さん。

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