【心へのフォーカス#5】歌舞伎を心のよりどころにしていたボーイ・ジョージ ハービー・山口

  •  新居でのボーイ・ジョージ(1982年)

 被写体の「明日の幸せ」をそっと願って撮り続け、半世紀を超えた写真家のハービー・山口さんが、著名人を活写したカットを紹介。撮影秘話や心の交流を振り返る連載の第5回。

   ×   × 

 1980年代、ロンドンで「ニュー・ロマンティックス」と呼ばれるムーブメントが誕生。若者が電子楽器などでメロディアスな音楽を演奏していた。彼らが集まるクラブに私は毎週通い、撮影した。

 奇抜なファッションやメークは遊び心と創造性にあふれ、飽きることのない被写体となった。白くて濃い化粧の女性がテーブルにいたので、カメラを向けた。「いい写真、撮れた?」と彼女から男性の声で尋ねられたので驚いた。それがジョージとの出会いだった。

 当時の私はお金がなく、英国人の知人のアパートに居候を始めた。その部屋に別のつてで転がりこんできたのがこのジョージだった。後にバンド「カルチャー・クラブ」でボーカルを務めたボーイ・ジョージだ。

 ジェンダーレスが進みつつある今と異なり、ジョージは女装のため、路上ですれ違う人らから「なんでそんな格好をするんだ」と罵声を浴びせられたという。夜にアパートで落ち込んでいた。

 日本人の私に「歌舞伎は、男が...

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