先日、釣友と話をしていたら「あの魚は眼(め)がいい」という話が出た。その薄そうな根拠に「視力検査したん?」と思わず皮肉を言って笑った。
清流の魚は眼がきく
魚の感覚についてすべて共通することは、大きく、食性と外敵から身を守るという2点から進化を遂げてきている。清流に棲(す)む魚のように昆虫などの生きて動き回るものを食べる魚は眼がよくきくとされている。
マス類、カサゴ、メバル、カツオ、スズキなどはこの類いで、これらの魚が生餌(いきえ)だけでなくギジバリやルアーで釣られることでも証明済みである。
反対に深い海や濁った水には眼がひどく退化してしまっている魚さえおり、これらの条件に棲む魚は総じて視覚は発達していない。淡水に棲むコイ、フナなどはどちらかというと視覚の弱い部類と考えられる。こういった魚はかえって嗅覚が鋭く、水に溶けるようなエサが有効でギジエなどでは釣果が期待できない。
色彩の弁別
魚に色が見分けられるか?という疑問は釣り人なら誰しも一度は持つが、これも学術的にはある程度の結論が出ているようだ。もちろん、魚の種類でも違うが、フナや金魚よりマスや海の魚に色彩の弁別ができるものが多いらしい。
しかし、水中では深くなるほど青や緑の色に統一される。空中で人間の眼には目立つ黄色や赤色は、水中では深くなるほど黒ずんでしまって色彩を失い目立つことはない。「黄色の糸は魚が嫌がる」などとよく聞くが、真偽はともかく、これも釣る層により黒ずんでしか見えないということになる。