「空白の25秒」に見えた気遣いと優しさ【五輪コラム】

フェンシングのエース江村、頂点は逃すも毅然と語る

  •  女子サーブル個人3回戦で敗れた江村美咲=パリ(共同)
  •  女子サーブル個人2回戦で勝利した江村美咲=パリ(共同)
  •  女子サーブル個人3回戦で韓国のチェ・セビン(左)と対戦する江村美咲=パリ(共同)
  •  女子サーブル個人3回戦で敗れた江村美咲=パリ(共同)
  •  フェンシング会場のグランパレ=パリ(共同)

 フェンシング女子サーブルのエース、25歳の江村美咲(立飛ホールディングス)は7月29日の個人は3回戦で姿を消した。2022年から世界選手権個人で2連覇し、優勝候補の大本命として臨んだ2度目の五輪で、まさかの敗退となった。簡単には気持ちを整理できないであろう試合直後の振る舞いは、取材者として見逃せないポイントの一つ。そこで江村が取った行動に、普段と変わらない気遣いを感じた。(共同通信=松下裕一)

 ▽敗戦直後の振る舞い

 初戦の2回戦を14―14からの1本勝負で何とか突破し、3回戦は世界ランキングでは格下のチェ・セビン(韓国)と対戦した。実績では江村に分があるが苦手意識のある相手。

 3―2から5ポイント続けて取られ、6―8と盛り返した後に6連続失点。ピストを前後に動き回って得点を重ねる本来の姿とはほど遠かった。試合後、「もっと動いて戦わないといけないのに、どうしても足が止まってしまって。それが何でかというのは自分では分かっていない」と話し、不調の要因を見つけ出せなかったようだった。

 実は、試合後の取材対応の冒頭で「終わってみてどうですか」と聞かれた直後、7秒の間があった。じっと答えを待つ大...

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