五輪前半のメイン競技、競泳で偉業が達成された。7月31日、フランスのレオン・マルシャンが男子200メートルバタフライと200メートル平泳ぎで金メダルを獲得。双方の決勝の間隔は2時間弱だった。スタミナが必要なバタフライとテクニカルな平泳ぎを短時間のうちに、ともに五輪新記録で制した。各泳法によるスペシャリスト化の時代にあって、常識を覆す快挙だ。(共同通信=小沢剛)
バタフライは戦後、平泳ぎから独立。親子関係の泳法とはいえ、水の抵抗が非常に多く、その分技術的要素が大きい平泳ぎと他泳法を兼ねて五輪に挑むのは常識外。五輪史上最多23個の金メダルを持つマイケル・フェルプス(米国)でさえ、個人の金メダルはバタフライと個人メドレー、自由形である。
マルシャンも「狂気の沙汰」と表現した。しかし個人メドレーで培ったオールラウンドの素養がある。競技2日目の400メートル個人メドレーを制した後、コーチのボブ・バウマンが背中を押した。「OK、さあ、やろう」。「この言葉が後押しした。少し欠いていた自信を膨らませてくれた」と振り返った。31日のバタフライはラストの50メートルで先行するクリストフ・ミラク(ハンガリ...