江府町「出かける役場」、運用開始 災害時通信インフラにも 多機能車で行政サービス

 町民の困り事解決に特化した組織「出かける役場推進室」を本年度新設した江府町は、業務を本格的に進めるために必要なマルチタスク車両「出かけMaaS(マース)号」を導入し9日、運用を開始した。通信環境が不安定な地域でも安定したインターネット接続ができる衛星通信回線「スターリンク」を搭載。各種申請やオンライン相談、災害時の現場本部などに活用し住民の生活を支える。

 同室では4月以降、集落を回って個別に意見を聞くニーズ調査などに取り組んできた。今後は車両を活用し、米沢地区をモデル地区とした集落支援業務などに取り組んでいく。将来的には「出かける医療」への活用も目指している。

 導入初日に「出かけMaaS号」が向かったのは、役場から約2・7キロ離れた同町武庫の荒田会館で開かれた運動教室。住民らは健康運動指導士の資格を持つ町職員からゴムバンドを使ったストレッチなどの指導を受けた後、車両の通信機能を使って管理栄養士に栄養相談をした。

 「筋肉を付けるためにはどんな食べ物がいいですか」-。車両に搭載されたモニター越しに管理栄養士に相談するのは、同町武庫の井上有里さん(70)。フレイル予防講座でチェックした際、筋肉量が少ないことが分かった。住民生活課の管理栄養士、森勇也さん(24)は「おやつに蒸し鶏などたんぱく質が多い食べ物を取り入れるといい」とアドバイスした。

 井上さんは「顔を見ながら身近にすぐ相談できて便利。車内にいろいろな仕組みがあって地域のさまざまなことに対応できそう」と期待する。

 車両は烏ケ山がデザインされた大型ワゴン車。内部はテーブルや椅子を設置でき、用途に応じてレイアウトも変更できる。

 白石祐治町長は「住民の皆さんからも、こういう時に来てほしいといった提案をしていただけるとより活用が進み助かる」と話した。

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