現在もフィルムカメラで作品を撮り続ける写真家さんの取材中、訪問先で集合写真の撮影を頼まれた。手渡された機材は貴重なチタンボディーのカメラで、実際にフィルムで写真を撮ったのは十数年ぶり。現在のデジタルカメラにはない、重みのある「一枚」を撮る感覚が懐かしくよみがえった◆5月16日の数ある記念日の一つに「工事写真の日」がある。建築工事の際に工程記録などの撮影・整理を請け負う多摩フォート(東京都)が創業記念日にちなみ制定したという◆工事写真は工程の進み具合や使用する資材などを記録する目的もさることながら、完成後、物理的に目視することが不可能な部分の確認のためにも重要な資料となる◆まだフィルムが主流だった25年以上前、有名メーカーの担当者から、ゼネコンが日本で最も多くフィルム(35ミリ)を消費する業種だと聞き納得した。ちなみに報道関係のそれは全体の割合から見ても分からないほど少量だと教えてもらった◆以後、工事写真もデジタル画像へ移行。酷使に耐えるデジカメも登場し「電子納品」「電子黒板」といった言葉も生まれた。今やスマホや工事用アプリの活用も増え一層の効率化が図られているが、施工管理の重要性はフィルム時代から変わることはない。(佐)