アオリイカの食欲は尋常ではない。よほどの例外を除いて同じ頃に生まれたアオリイカが、300グラムのものと3キロのものと個体差があるのは、この食欲と関係がある。
「イカはひと潮ごとに成長する」と言われるが、これはうそではない。実験によると、アオリイカは、体重の70%のエサを毎日食べ続けることができるらしい。並外れた食欲と消化力に驚くが、この状態で飼育し続ければ毎日10%ずつ体重が増えるというからわれわれの想像を大きく超えている。
飼育している群れのなかでもサイズにはバラツキがある。大きい元気な個体が真っ先にエサにアタックするので、個体差が広がる。
イカの視力
アオリイカだけでなくイカの類は、視力がいい。太古から種を永らえてきた過程にはそれぞれの個性があり、エサの探索に必要な機能を発達させながら進化してきた。
目が発達していない類は嗅覚でエサを探したが、イカはエサの探索を視力に頼った。暗い水中でもわずかの月の明かりでエサを視認し捕食する。イカが何のにおいもしないエギに抱き着くのは捕食を目に頼っている何よりの証拠といえる。
産卵期とシーズン
彼らの産卵は水温が17度程度になると始まる。山陰では4~5月ごろであるが、沖縄など年間を通じて17度の水温を下回ることがない海域では年中交尾し産卵するようになる。当然、本州では狙えない時季でも沖縄に行けば釣れる、というわけだ。
日本海側の食いが止まっても、黒潮が接岸している和歌山・串本なら普通に釣れるのは、水温が大きく関係していることに他ならない。