潮騒 2023.5.20

 「みんなが爆弾なんかつくらないで きれいな花火ばかりつくっていたら きっと戦争なんて 起きなかったんだな」◆滋賀県守山市の佐川美術館で開催中の「生誕100年 山下清展 百年目の大回想」を見に車を走らせた。“放浪の天才画家”と言われた山下清が49歳の生涯を閉じるまでの創作活動を貼絵や油彩、水彩画、ペン画や陶磁器などで振り返っている◆山下清と言えばテレビドラマの“裸の大将”としてのイメージがすり込まれていて、放浪の先々で絵を描いていたと思っていたが実はそうではなかったということ、そして放浪に出た理由が徴兵検査を逃れるためだったということなどを知った◆冒頭の言葉は花火の作品に添えられた本人の言葉。作品に込められた思いを見つめていると、人に銃を向け、ミサイルを撃ち込み、簡単に命を奪ってしまう現実に怒りがこみ上げてくる◆少しはしょるが、こんな言葉もあった。「戦争というものは一番こわいもので一番大事なものは命で 命より大事なものはない 命を取られると死んでしまう 死んでしまえば楽しみもなければ 苦しみもない 死ぬまでの苦しみが一番つらい 戦争よりつらいものはない」。深く深く考えさせられる企画展。6月11日までなので、ぜひ。(松)

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