新温泉町春来地区で名物のかき餅作りが最盛期を迎えている。作業場の旧春来小廊下には、わら縄でくくられた短冊状のかき餅が所狭しとつるされ、冬季限定のカラフルな“すだれ”が但馬の冬を彩っている。
かき餅作りは、地区内で「そば処(どころ)春来てっぺん」などを運営する「春来てっぺん」が、地元住民と協力して毎年1月中旬~2月上旬に行っている。もちを薄い短冊状に切断し、40枚ずつわら縄でくくるなどして乾燥させる。
白もち▽えび▽黒豆▽のり▽梅しそ▽ごま風味-の全6種類あり、それぞれ塩味と砂糖味が選べる。地元産のもち米を使った香りの良さと素朴な味が人気で、今年は約7万6千枚を出荷する予定。
作業に当たった田中重義さん(74)は「気温が下がり、出来栄えは上々。昔ながらの素朴なかき餅。雪がちらつく里山の風景を思い浮かべながら味わってほしい」とほほ笑んだ。
わら縄をくくる熟練者の高齢化が進み、3年ほど前から箱詰めを販売。今年は既にわら縄でくくったかき餅の注文は終了し、箱詰めのみの受け付けとなっている。