AIで特殊詐欺被害防止 ATM内、携帯通話の動作検知 鳥取信金が県内初導入

 特殊詐欺の被害を防止しようと、鳥取信用金庫はATM内で携帯電話で通話する動作を人工知能(AI)で検知し警告を発する新機能を、鳥取県内で初めて導入した。利用者に注意を促し、場合によっては強制的に取引を中止する。職員の目視や啓発チラシなどに頼ってきた被害防止対策を、より確実にする狙いだ。

 特殊詐欺では、犯人が電話で指示してATMを操作させる手口が多いとされる。新機能では、ATMの内蔵カメラで撮影した画像から振り込み時に携帯電話で通話している動作をAIが検知し、取引を中止するようATM画面に警告を表示。従わずに振り込みを続けようとした場合は、強制的に取引を終了させる。

 新機能は、ATMの設計や製造を手がける日立チャネルソリューションズ(東京)が開発し、全国の金融機関に提供。鳥取信金は昨年10月に導入を決め、今年2月13日から一部のATMで稼働。状況を確認しながら今後2年以内に、営業エリアにある全33台のATMに順次導入する計画だ。

 同信金では、職員が店舗に不在となる営業時間外や休日、店舗外設置のATMでの被害防止に期待。金融犯罪対策を担当する草刈康弘常務理事は「利便性より安全性を重視する。犯行を抑止し、地域の人々に安心安全な取引をしていただきたい」と話していた。

 鳥取県警によると、2024年の県内の認知件数は、特殊詐欺が76件(被害額1億490万円)、SNS型投資・ロマンス詐欺が41件(同6億2822万円)。いずれの手口もATMで金銭をだまし取ったケースが報告されている。

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