美方郡内の各スキー場は今冬、雪不足にあえいだ昨冬から一転、まとまった降雪に恵まれ、営業開始から入り込み客数は順調に推移している。1月末時点で香美町内3スキー場の合計入り込み客数が3年ぶりに8万人を超えた一方、降り過ぎで除雪に追われるなど、うれしい悲鳴も上がっている。
「直近5年ほどで1番と言えるほどの積雪」と声を弾ませるのは、ハチ北スキー場(香美町村岡区大笹)を運営する鉢伏開発観光ハチ北事務所。要所で人工降雪機も稼働させ、自然雪と合わせて21日時点で280センチと十分な雪を確保した。
おじろスキー場(同町小代区大谷)も23日時点で積雪は250センチと潤沢に雪をたたえた。両スキー場より標高が低い但馬牧場公園スキー場(新温泉町丹土)でも同日時点で120センチあり、22日からの3連休は各スキー場とも多くのスキー客などでにぎわった。
但馬牧場公園スキー場に24日、家族5人で訪れていた浜坂南小2年の坂本幸輝さん(8)=新温泉町二日市=は「(今シーズンは)もう5回くらい来ている。スキーはスピードが出て楽しい」と、十分な積雪がうれしい様子だった。
昨冬は記録的な雪不足で営業開始の遅れや、平年の半分程度の営業日数に追い込まれただけに、各スキー場は“天の恵み”に胸をなで下ろすが、別の心配も浮上している。
各スキー場とも、アクセス道の除雪に追われ、雪道に慣れていないスキー客の交通安全に気をもむ。また、気温の上昇による雪崩発生のリスク増大に神経をとがらせ、パトロールに余念がないほか、今後の天候による雪解けも心配の種だ。
ハチ北事務所の田水聡将所長は「正直、ちょっと降り過ぎかも。ほどほどに、少しずつ降ってもらえたら」と苦笑い。おじろスキー場の増田大作支配人も「2月後半の寒波は想定外」としつつも「除雪の苦労はあるが、積雪に恵まれありがたい。シーズン終了まで事故がないよう気を引き締めていきたい」と話した。
豊富な雪に支えられ、郡内の各スキー場は、それぞれ3月中旬から4月上旬までの営業を見込んでいる。