ご愛読いただいた澤田瞳子・作、村田涼平・画「春かずら」は3月4日に完結し、5日から今村翔吾・作、木村浩之・画「未(いま)だ本能寺にあり」が始まります。本能寺の変の後、秀吉は抜群の記憶力を持つ若武者・駒井重勝に重要な任務を与え、暗殺されたはずの信長の遺体の謎に迫ります。驚きの新たな歴史ミステリーの始まりです。
【作家の言葉】本能寺の変。多くの人が知っている戦国の大事件である。が、判(わか)っていないことがあまりに多い。大きな謎の一つは、織田信長の遺体が見つかっていないことだ。墓はある。しかも幾つも。信長は何処(どこ)へいったのか。いや、何処にも行っていないのかもしれない。そう考えた時、私の脳裡(のうり)で、業火に包まれる信長がわずかに振り返った気がした。
【略歴】今村翔吾(いまむら・しょうご)1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥(ひくいどり) 羽州ぼろ鳶(とび)組』でデビュー。同作で歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。18年「童神」(刊行時『童の神』と改題)で角川春樹小説賞を受賞。20年『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞受賞。21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで吉川英治文庫賞受賞。22年『塞王(さいおう)の楯(たて)』で直木賞受賞。
【画家の言葉】今村さんの連載小説に絵を付けさせていただくことになりました。日々の制作で身につけた筆遣いや挿絵ならではの画面構成をお楽しみください。小説の場面を実際にその場で描くように、真に迫る表現ができるよう努めたいと思います。
【略歴】木村浩之(きむら・ひろゆき)1975年東京都生まれ。多摩美術大日本画専攻卒業。日本の美意識を伝えるべく国内外で個展等を多数開催し、墨絵のライブパフォーマンスでも活躍。日本画の絵画教室も主宰している。