鳥取市用瀬町の千代川で旧暦3月3日(同月31日)に行われる伝統行事「用瀬の流しびな」に向けて、地元で準備が大詰めを迎えた。26日には、住民らが思いを込めて制作にいそしんだ。
用瀬の流しびなは、男女一対の紙びなを桟俵に乗せ、川に流して無病息災を願う江戸時代から続く伝統行事。県無形民俗文化財に指定されており、2021年3月には国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選ばれた。
この日は、用瀬二区住民を中心とする「ときわ流しびなの会」(長谷川正敏会長)のメンバー4人が地区の集会所で作業。地元産もち米の稲わらを編み込んで直径約23センチなど4種類の桟俵を作り、顔を描いた紙粘土のひな人形を添えた。毎年稲刈りが終わった10月から準備に取りかかり、800セットを完成させる。
新しくメンバーに加わった同町地域おこし協力隊の堺泰樹さん(30)=京都市出身=は「熟練の技を学び、歴史ある行事に触れて心の豊かさを感じる」と笑顔。長谷川会長(73)は「健やかな成長など願いを込めて丁寧に作っている。次代につなぎたい」と話した。