第73回西日本学生相撲新人選手権は13日、堺市の市営大浜公園相撲場で今春に東海地区以西の大学相撲部に入った10大学36選手が参加して行われた。団体は、近大が朝日大、金沢学院大と勝ち点で並んだものの、得点差で競り勝って3年連続46度目の優勝を飾った。
近大は5回戦・朝日大戦の大将戦で、184センチ、118キロとバランスの取れた野坂朋矢二段(北海道栄高)が、勢い込んで突進してきた190センチ、160キロのオドフー・チンゾリグ初段(神奈川・旭丘高)の当たりを落ち着いて止め、サッと右に動いて深い懐に呼び込むように突き落として貴重な勝ち点。結局この星がものをいって、金沢学院大には逆に大将戦で敗れたものの、昨年に続いて接戦をものにした。
野坂二段は「ずっと新人戦団体で勝っている、と先輩から聞かされていたのでプレッシャーがあった。先輩方が4月の宇和島大会で団体優勝したので、稽古を付けていただいている僕らも負けるわけにはいかないから」と、ほっとした表情。
個人は、近大で団体の先鋒(せんぽう)を務め、7戦全勝だった新島伊武起二段(鹿児島・樟南高)が173センチ125キロから繰り出す回転の良い突っ張りで制した。
8強は団体戦で接戦を演じた3校が、金沢学院大3人、近大と朝日大2人ずつ、そして立命大1人の顔ぶれ。決勝に進出したのは、新島二段とほぼ同じ体格で金沢学院大高時代に高校総体3位入賞の篠侑磨二段(金沢学院大)。互いに突き押しを得意とするだけに、激しい先手争いが注目されたが、新島二段の速い突っ張りがさく裂(れつ)し、電車道で東土俵へ一気に押し出した。
新島二段は計11連勝で金メダル2個を首に笑顔。鹿児島・奄美大島の龍南中時代は中学生横綱に輝いたが、コロナ禍に覆われた高校時代は最高で団体ベスト8、個人16強と不完全燃焼に終わった。「自分の相撲を取り切れて勝てたのがうれしい。大学に入って1カ月ちょっとだが、まだ稽古に付いていくのがやっと…」と謙遜。
2年ぶりに団体、個人を制した近大の阿部智志監督は「今年は朝日大や金沢学院大の力が上がってきて、西日本でもうちを含めた接戦になると思う。選手もそれを実感したはず。新人選手権は学生時代に皆1回だけの経験ですから優勝は良い思い出になる」と、各選手と固い握手。
主な成績は次の通り。
【団体】
▽リーグ戦5回戦
近 大 2-1 朝 日 大
○新 島 おしだし 生 駒
神 藤 おしだし 山 口〇
○野 坂 つきおとし オドフ
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▼最終成績 ①近大(6勝18点)②朝日大(6勝17点)③金沢学院大(6勝16点)④龍谷大(4勝8点)⑤立命大(2勝8点)⑥愛知学院大(2勝6点)⑦同大(1勝5点)⑧関西大(0勝5点)=近大は3年連続46度目の優勝
【個人】準決勝=篠侑磨(金沢学院大)よりきり武内楓夢(金沢学院大)▽新島伊武起(近大)おしだし森田陽彦(金沢学院大)△決勝=新島おしだし篠