まさか、自分が－。啓発ポスターのような言葉が、頭に浮かんだ。初めてクレジットカードの不正利用の被害に遭ってしまった◆気付いたのは妻で、カード会社から届いた請求書を見て「１万３４５０円、何なんこれ」。全く身に覚えがない。釈明もそこそこに当該の通販サイトで購入履歴を確認すると、買い物した事実すらない。同サイトのカスタマーサービスに連絡して「不正利用の可能性が極めて高い」と分かった◆担当者によると、詳細は明かせないが本人以外の団体名義でカードが共有化されており、そちらさんが電化製品を購入したようだ。数十万円でないところも憎い。買い物が多い月であれば見落としていたかも。カード会社の対応が思いのほかスムーズなのにも驚かされた。原因は今のところ分からずじまいだ◆マイナンバーカードに関するトラブルが相次いでいる。ポイント付与の大盤振る舞いに乗せられた身としては、こちらも不安。急速に進む便利さには、思わぬところで犯罪に巻き込まれる怖さが拭いきれないのも事実◆社内では同僚らが一斉に購入履歴を確認し始めた。一人どっしり構えるのはクレカを持たない主義のデスクで「俺みたいになるしかないな」。もはやそこには戻れないから、困っている。（北）
潮騒 ２０２３．５．２９
