とある番組で竹内(たけのうち)街道が紹介されていた。対向車との行き違いが困難な「酷道」として。府内でも特に中心部から北の人たちにはなじみが薄いかもしれないが、奈良県内の横大路とともに日本最古の官道(国道)として、非常にいわれ深い、由緒正しい道である◆堺出身で奈良県内に知人がいたことから、しょっちゅうこの道を行き来した。その頃は単に「国道166号線」としての認識しかなかった◆推古天皇時代の613年に「難波より京(飛鳥)に至るまでに大道を置く」として施設された官道が起源。春分と秋分の日に太陽が三輪山から昇り、二上山を超えて大阪湾に沈むことから、同じ軌跡をたどるこの道は「太陽の道」ともいわれる◆道沿いにはそれ以前から古代の王権が大小さまざまな古墳を築き、栄華の跡を残す。現職に就き、取材で羽曳野を訪れた際にそうした歴史を知る機会に恵まれた◆街道沿いの羽曳野市駒ケ谷にある河内ワインさんを取材したのははるか20年前。そういえば学生時代、奈良の知人を送っていく道すがら「この道は実はすごい道で…」と熱心に説明されたのをうっすら思い出した。1400年以上の悠久の歴史を伝える道に自身の歴史の一端が重なると思うと、ちょっとうれしい。(岡)