「来る人にどんな危険があるかを知ってもらうことは絶対に必要」と指摘するのは関西大社会安全センターの河田恵昭センター長。ヨーロッパの多くの都市は、どの場所にどういった危険があるかを周知しているとし、ネガティブ情報を隠したがる日本の姿勢との違いを強調する◆2025年大阪・関西万博の開催まで2年を切り、会場建設や機運醸成など関係者は準備に追われているが、最重要課題の一つは来場者の安全確保だろう◆会場となる夢洲(ゆめしま)は大阪湾の人工島で、アクセスルートが限られている上、開催期間は台風シーズンと重なる。政府の地震調査委員会は、南海トラフ巨大地震が30年以内に70~80%の確率で発生すると算出しており、こちらも想定外では済まされない◆台風時の高潮、地震時の津波や液状化など万全の対策が必要だが、限られたアクセスルートから全ての来場者を避難させるのは困難であり、夢洲が孤立した際の想定も重要だ。日本国際博覧会協会が避難計画を策定中だが、観光客には夢洲がどういった場所でどんなリスクがあるかを分かってもらった上で来てもらわなければならない◆そのためにはネガティブ情報を開示するとともに、災害対策の万全さをアピールできるように準備を進めてほしい。(木)