2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は今秋、大阪府・市や交通事業者などでつくる協議会が策定する「来場者輸送具体方針第3版」を公表する。万博来場者の安全で円滑な移動を実現することが目的で、5月に発表された具体方針の第2版では、検討・対応が必要な課題として14項目を挙げており、アクセスルートが限られた大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)での開催を念頭に「災害事故時の対応」でも質疑があった。
具体方針では、開催期間の半年間の来場者総数を約2820万人と想定。国内来場者2470万人(88%)、海外来場者約350万人(12%)と見込んでいる。「1日の来場者数が20万人を超えたあたりから、輸送における鉄道の割合が加速度的に増加する」とし、対策の必要性を指摘している。
具体方針第2版では陸路のアクセスを詳しくした。来場には公共交通機関の利用を呼びかけるが、やむを得ず自家用車を使う人に対し、事前予約制の駐車場を堺市や尼崎市などに設置する。
第2版の公表後、近畿地方整備局の担当者は「たいへんしっかりと書かれたもの」とした上で、万博開催期間について「梅雨や台風の時期が含まれており、地震も確率の高いところが示されている」と指摘。「平常時については第2版までにある程度対応が示されたと思っている。イレギュラー時に各管理者がどう対応するのか。例えば道路、鉄道などいろいろな関係機関が万博を節目にして連携を深めていかなくてはならない」と災害時の連携強化の必要性を訴えた。
また、最も輸送力の高い大阪メトロ中央線、JR桜島線など、鉄道で輸送障害が発生したときの代替手段の確保も検討課題として挙げられている。