夏のボーナスを支給する企業は59・5%。大阪シティ信金が取引先に実施した調査で、支給企業の割合は過去2年、経済活動の正常化でコロナ禍の落ち込み(2020年に9・4ポイント減)を取り戻してきたが、今年は昨夏比0・4ポイント減で、ほぼ横ばい◆原材料価格の上昇など先行き不透明な中で増加に歯止めがかかった形。ただ、これまでの回復の中にも「人手不足」の苦境に対峙(たいじ)してきた中小企業の苦しい台所事情が垣間見える◆正社員1人あたりの支給額は29万9957円で昨夏に比べ5・4%増。3年連続で増え、コロナ禍前を上回った。だが要因をよく見ると「従業員の士気高揚」が83・6%で最も多く「雇用確保」が39・2%で昨年比11・9ポイント増。一方で「業績が好調なため」は昨年を15・1ポイント下回った◆人材確保のために続ける賃上げも上昇の一因に挙がる。同信金は「物価上昇や人手不足を踏まえて引き上げざるを得ない状況」と見る◆同信金が5月に実施した調査で人手不足が「かなり深刻」「やや深刻」とした企業は7割を超え、従業員規模が小さいほど深刻度は増す。対してボーナスを「無理して支給」する企業は、20人以上の企業で昨夏より減ったが、20人未満の企業では増加した。何とも歯がゆい状況である。(岡)